「スザク、これ」
「ルルーシュ……これって…………」
スザクは目を見開いて心底驚いていた。
何故ならルルーシュの手にあるのはチョコレート。それをただ無表情に自分に向けて差し出している。
「チョコレートだろ? 見て分かんないのか」
「そうじゃなくて……」
意味を分かっていないのだろうか。スザクがそう思い始めた矢先、ルルーシュはニヤリと笑みを浮かべ事もなげに言い放つ。
「日本のヴァレンタインディは世話になった人にチョコを配るイベントなんだろ? だからお前にも」
古い日本の書物に書いてあったぞ、とつい最近手に入れたというその本の説明をしているルルーシュ。
何気なく視線を逸らしたその瞬間スザクがルルーシュの持つ紙袋の中身に気付き、自分に渡された物と同じチョコレートであろう代物がいくつも入っているのが見える。
「まさかそれ、みんなに配って歩く気じゃないよね?」
紙袋を指差して言うと……。
「配らないでどうする? せっかく買ってきたんだ。とりあえず関わりの深い奴らには渡す予定だ」
「僕以外に誰かに配ったの!?」
「いや……」
スザクがホッと息を吐いた次の瞬間凍りつくような言葉が続く。
「まだお前とリヴァルにしか渡してないよ」
「あ……スザク!」
「あとで説明するから!!!」
瞬時にルルーシュの紙袋を奪い脱兎の如く教室に駆け込んだ。
そこにはやはり自分の同じラッピングのチョコレートを手に、青褪め石化しているリヴァルの姿が。
すぐさまそのチョコレートを奪い、リヴァルの肩を揺すり言い募った。
「だ……大丈夫。ルルーシュには今日って言う日をちゃんと僕から説明しておくから。とにかくこれは僕が預かるからね?」
最早固まっているリヴァルには、頷く気力すらないのを良い事にその手からルルーシュのチョコレートを没収した。
『ルルーシュのチョコは……例え義理でも僕が守る!!』
山も意味も落ちもない……
まさにやおい………………。こんな事考えながら昨夜眠りにつきました。
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